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AMO設計事務所
篠崎 好明さん

東京工業大学理工学部建築学科卒。圓堂建築設計事務所、アトリエR斉藤義建築設計事務所等を経て1973年AMO設計事務所設立。主に商業建築を手掛けていたが、雑誌の掲載作品を見て依頼してくれたNさんの家の設計経験をきっかけに、住宅設計に重心を移す。
[AMO設計事務所のホームページ]
http://www.eurus.dti.ne.jp/~amo/  

個人住宅にこそ普遍的価値を

Q.  このサイトの「依頼先」ページに、「住宅は建築家の登竜門にして到達点である」というコメントをお寄せくださいましたが、なぜそうお考えなのですか。
A. たとえば、劇場や美術館などの建築は、人間の営みのなかでも特殊な用途のためにつくられます。そこに関心がある人だけのものといってもいい。
これに対し、人は誰でも住生活を送ります。地位や職業、年齢性別を問わず、すべての人にとってなくてはならないのが住宅。快・不快といった人間の根源的な感覚を扱う建築です。それゆえ個人住宅こそ、もっとも普遍性のある建築だと考えるからです。
Q. とはいえ、個々の住宅は、それぞれの家族のものですよね。
A. もちろん設計に際しては、施主の要望を汲み取り、満たすべく考えます。それを超えてさらに、普遍的な魅力を備えた住宅をつくりたい。おいしいものは誰が食べてもおいしいように、快適な家は誰が住んでも快適なはずです。
その家を訪れた他の人も「こんな家に住みたい」と思うような家、時代を超えて価値を失わない家を目指して設計する。それは当然、施主にとっても望ましい家になるでしょう。
Q. 「住宅の普遍的価値」とはどんなところから生まれるのでしょう?
A. まず第一に生理的快適性、そして機能的利便性です。温度や湿度といった体感的なものと、部屋の構成・動線など使いやすさですね。次に精神的・心理的な快適性。ここには時代性も含まれます。なぜなら、現代はライフスタイルが多様化し、家族それぞれに価値観やプライベートな時間の過ごし方が異なる。住まいには、その全体を包み込むキャパシティが求められます。
家全体がワンルームのようなプランがもてはやされることがありますが、私の考えでは、きちんとした個人空間も必要です。個が確立されてこそ、家族全体がストレスなく集まることができる。さらに、個の空間でもコミュニティの空間でもない、曖昧な中間領域が重要ですね。その中間領域のひとつとして、私はパソコンを置くライブラリーを提案します。パソコンは1人に1台でも、プリンタやスキャナは共用で十分。ひと部屋に集めれば効率もよく、家族も自然に集まる。それぞれにパソコンを使いながら、食事どきとは違う話題、別種のコミュニケーションが生まれるでしょう。
これに加えて、とくに都市では防犯性が課題。安心して暮らせるということは、住宅の絶対条件です。ガードが堅く、侵入しにくい家であること。それでいながらなおかつ、景観としても美しく、外を通る人の目に楽しい。これらの要素はあらゆる住まいに通じる普遍的価値だと考えますし、常にそれを命題として設計をすすめています。

設計の手法・構造の選択

Q. 具体的には、どのように設計をすすめていかれるのでしょう。
A. まず、設計契約の前に平面図だけのプレゼンテーションを繰り返し行います。平面図をたたき台にして施主の考えを引き出していくのです。1回に1案ずつ、施主が納得するまで何回でも出します。平面図だけなら自由な発想ができるので、アイデアも生まれやすく、問題点も引き出しやすい。この作業を通じて、敷地や法規のほか、施主の家族の希望などの与条件をすべて洗い出します。これが終わったときには、設計上の具体的課題はすべてクリアになり、あとは形の問題だけ。安心してクリエイティブな作業に移行できます。
基本設計は原則として私におまかせいただき、断面図、外観・内観・パースなどが完成した時点で順次プレゼンを行います。実施設計時にはまた、仕上げや設備の選択について、ひとつひとつ施主と細かく打ち合わせていきます。
Q. これまでに手掛けられた家のほとんどがRC造ですが、その選択の理由は。
A. とくにコンクリートにこだわっているわけでありません。私がこだわるのは、できるだけ同一の材質を使うということ。異質な材料を使うと収縮率の違いが構造のひずみを引き起こしますし、素材の種類が多く質感を主張しすぎると空間構成の妙味が際だちません。 コンクリートは、構造体であるだけでなく、そのまま外壁にも内壁にもなりうる材料であること、また、空間を表現しやすいという理由で使ってきました。
ただ、RC造はどうしても割高になりますし、型枠が廃棄物になるなど問題点もある。今後は、木造も積極的に手掛けていきたいと考えています。近年は木造も、材料のバラツキがなくなり、プレカットなど技術も進んできました。今は新しい技法を取捨選択しながら、私の目指す建築に合った「AMO式新木造」をつくりあげるべく、実践を重ねているところです。

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聞き手:萩原 詩子
フリーランスエディター&ライター。
住宅雑誌などの編集者を経て1997年独立。住まいづくり・住まい選びをテーマに取材・執筆活動を行う。
共著に 「住宅購入チェックリスト」東洋経済新報社刊。


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