| Q. |
名刺やHPで「インフォームド・コンセント」という言葉を掲げていらっしゃいますが、住宅建築におけるインフォームド・コンセントとはどういうことでしょう? |
| A. |
たとえば、希望を実現するための手段は、予算内ではできないことまで含めて、あらゆる可能性を示すこと。たとえ高額の費用がかかっても、その人にとってどうしても必要なら、他の何かを諦めてでも実現しようと考えるかもしれないでしょ?
また、確認申請時にお役所と意見が食い違ったり、工事中に近隣から苦情が寄せられたりと、住宅が完成するまでの過程には、トラブルも発生します。これまでは、そういうことをお客さんに知らせずに片付けようとする傾向があったと思うんですね。
でも、プロセスがわからないままでは、お客さんには不信感が残ります。設計者と建て主とは、対等な立場のパートナー。マイナス面も含めて、あらゆる情報を共有し、一緒に悩んで一緒に解決していこう、ということなんです。 |
| Q. |
そのためには、相当な話し合い、相互理解が必要になるでしょうね。 |
| A. |
ですから、じっくり腰を据えてお話できるように、初回の打ち合わせ日には他の予定は入れません。また、必ず今のお住まいをお訪ねして、その方の住まい方を見ておきます。住まい方のクセって治らないものですし、それが受け入れられない家は辛いですから。 |
| Q. |
打ち合わせでは、どんなことを話し合うのですか? |
| A. |
日頃の生活ぶりから社会現象への意見まで、世間話しながらその人の家への価値観、設計のキーワードになるようなことを引き出していきます。お客さんにお願いするのは、心の中で密かに思い描いている夢を、包み隠さず話してくださいってこと。「言ったら恥ずかしい」とか「どうせ無理でしょ」なんてのはナシにしてほしい。極端な話、「空飛ぶ家」だってできないとは限りません。
家づくりのための会話にタブーをつくってはだめ。家は今後30〜40年、もしかしたら100年も建っているかもしれないんだから、そこで家族が死んでいくことだって、前向きに見据える必要があります。 |
| Q. |
実際の設計にあたっては、どんなことを心がけていらっしゃいますか。 |
| A. |
住まい手がどこでどんなことをするか、じっくり考えながらつくります。たとえば写真の家では、「広いLDKが欲しい」という要望が出されたんですが、そこで何をするか、と考えたら、食べることでしょ。結果、リビング抜きの「広いダイニング」になりました。
住宅は、住む人の生活によって変化していくアートだと思っています。完成したあとは、住む人のもの。私がつくっておかなくてはならないのは、温度や湿度、日当たり、など五感に訴える部分です。住んだ人の気持ちや、そこで育っていく子供、写真には写らないそうしたものが、私にとっての「作品」になるのだと思います。 |