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ホームビルダー有限会社 代表取締役
松岡 茂樹さん

大工だったお父さまに連れられ、幼少時から建築工事の様子を見聞きし、関心を抱く。日本工業大学付属東京工業高校建築科に進み、卒業後、建築会社に勤務。大手ゼネコンからの請負や住宅建築など幅広い仕事で現場監督を勤めたのち、1996年ホームビルダーを設立。
[松岡さんの携わる活動のひとつ
project1000のホームページ]
http://village.infoweb.ne.jp/~fwgi5428/
施工例写真 撮影=平 剛  

「工務店」としての職域

Q.  一口に「工務店」と言っても職域は様々ですが、ホームビルダーの仕事の範囲は?
A. 会社を立ちあげた当初は設計・施工の両方を手掛けたこともありましたが、現在は施工だけを請け負っています。私の専門は設計ではありませんし、設計と施工は分けたほうがいい。そのほうがプロ同士でシビアにチェックし合え、結果としてよりよいものができると考えています。
Q. とはいえ、ホームビルダー社内に大工さんや職人さんがいらっしゃるわけではないですね?
A. ええ、それぞれの現場に合わせて各職種の業者さんにお願いします。そのコーディネートが私の仕事のひとつです。言葉は悪いけれど、現場によって業者さんを「使い分け」る。たとえば、建物を左官主体で仕上げるのか、板金の比重が高いのか、など、設計に合わせてお願いする大工さんを替えることもあります。
Q. すると、松岡さんご自身が手掛ける仕事とは、どんなことでしょう?
A. ひとことで言うと「施工管理」です。その職務は「建物が、決められた時間内に、決められた金額で、かつ安全に、設計図通りに仕上がるかように管理する」こと。これが私の定義です。

請負金額の透明化を目指して

Q. 実際にものをつくる職人さんの仕事と比べると、一般に理解されにくい仕事では?
A. 事実これまでの工務店では、「施工管理」に対する報酬は曖昧なままにされていました。たとえば工事の見積もりを出すときに、施工管理費の全額を明らかにせず、各職種の業者さんに支払う工事費に上乗せするようなやりかたをする。それでは、支払う側からは「職人さんの上前をはねている」と見られかねません。また工務店としては、「うちは施工管理としてこれだけの仕事をしている」ときちんと説明できないということではないのか。かねがね疑問に感じていました。私は、自分の仕事の内容・価値を理解していただき、それに対する正当な報酬を受け取りたいと考えています。
Q. そのためにどんな方策を考えていらっしゃいますか?
A. 今すでに行っていることでは、見積もりに「現場管理費」を計上し、その内訳を明らかにしています。具体的には「工程管理」「品質管理」「安全管理」「原価管理」の4つの仕事と交通費などの諸経費に分けています。  また、今後の課題として考えているのは、お金の流れ自体を変えること。現状では、お客さんは工事金額を一括してホームビルダーに支払い、うちからまた各業者に支払う、という流れになっています。このままでは、うちが「上前をはねていない」こともまた、理解されにくい。ですから、お客さんから直接、各業者さんに支払ってもらったほうがいいのではないか。そうすればお客さん自身も、自分の払ったお金が自分の家にどう生きているのかが、実感できるのではないでしょうか。

施工業者の立場から建てる人へ

Q. 施工・管理に携わる立場から、施主へのアドバイスはありますか?
A. お客さん自身も、事前に建築のことを勉強する必要があると思いますね。もちろん、設計は建築家が行うわけですが、それ以前に、その家で生活する人自身がしっかりした信念を持っていなければ、納得できる結果は生まれません。お客さんは建築家の能力を買うのであって、全部を託してしまってはいけない。提案された設計に対して、自分の意見をはっきり言えなくてはなりません。そのためには、ご自分が建てたい家のビジョン、実現したい項目の優先順位を明らかにしておかれるといいでしょう。
Q. 建てる人がいい建築家に出会うには、どうすればいいと思われますか?
A. いろいろな人と話してみるといいのでは。その人の設計が好きでも、ご自分との相性もあるでしょうし。質問に対して適切にわかりやすく答えてくれるどうか、フットワークはいいか、ということも、実際の設計・施工作業に入ったときに重要な要素です。  また、メールという手段もありますね。あなたの建築に興味があるんです、とメールを送ってみる。その反応からも、その人の仕事ぶりや人柄の一端が伺えるのではないでしょうか。

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聞き手:萩原 詩子
フリーランスエディター&ライター。
住宅雑誌などの編集者を経て1997年独立。住まいづくり・住まい選びをテーマに取材・執筆活動を行う。
共著に 「住宅購入チェックリスト」東洋経済新報社刊。


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