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石橋徳川建築設計所
徳川 宜子さん

中学生の頃より建築に関心を抱く。東洋英和女学院短期大学卒業後、建築を学ぶために文化学院に入り直し、1981年大成建設に入社。1985年、石橋利彦氏とともに石橋徳川建築設計所を設立する。建築設計は「好きでなければやっていけない仕事」と語る。
[ホームページ]http://www.it-arch.co.jp/  

設計者2人のパートナーシップ

Q.  こちらは石橋利彦さんとの共同事務所ですが、仕事はどのように分担されるのですか?
A. 工事中の現場監理はどちらかに一本化しますが、設計はひとつひとつ、2人一緒に取り組みます。お客様からは、どちらに連絡していただいてもかまいません。実際、そのときどきで、どちらか言いやすいほうにお電話くださるかたもいらっしゃいます。
Q.  打ち合わせなども、お2人揃って臨まれるわけですね?
A. そうです。たとえば、ご要望をヒアリングする際、いちばんお聞きしたいのは、生活への希望や夢など、漠然としたことなんですね。私たちが設計する以上、基本性能や快適性を備えた家をつくるのは当たり前のこと。ですから、それ以外の部分、そのご家族なりの個性をどう引き出し、かたちにするかが課題なんです。そのためには、部屋数や面積配分といった、型にはまったことをお聞きしてもしかたない。最初は条件などに縛られず、おおらかに、ざっくばらんなお話がしたいんです。このとき、お客様ご夫妻と二対一で接するよりも、こちらも二人でお相手したほうが、話が弾みやすいというメリットがあります。
Q.  設計の実作業における、パートナーシップの利点はなんでしょうか?
A. 常にお互いに客観的でいられることでしょうか。たとえば、一人で取り組んでいるとあるポイントにのめりこんでしまうこともありえます。二人ならば、そこでバランスが保てる。機能面、経済性、デザインなど、設計をトータルで見たときに、偏りのないものができると考えています。

デジタル化の効用

Q. インターネットやCADなど、デジタル化に積極的に取り組んでいらっしゃいますね?
A. 最近では、お客様ともメールでやりとりすることが増えました。設計中は、だいたい2週間に1回くらいのペースで定例打ち合わせを行いますが、ふだんの連絡はメールで、というかたが半数以上でしょうか。CADやPDFなど画像も送れますから。
 プレゼンテーションでも、3Dで建物の中の雰囲気を確認していただけます。太陽光の入り込み方、隣の建物との関係などのシミュレーションもできる。また外観については、実際の敷地の写真と合成した画像をもとに、およその色目を決めてから、材料選びに入るようにしています。具体的なイメージを目で見て確認していただけるので、お客様とのコミュニケーションがスムーズになりましたね。

「建築」と「住宅」

Q. オフィスビルや工場などの設計も手掛けていらっしゃいますが、住宅との違いはありますか?
A. オフィスでも住宅でも、人間が過ごす場所に変わりありません。オフィスで働いている人が、家に帰ると別な人物になるわけではないでしょう? 住宅も他の建築物も同じだと捉えています。技術にしてもそう。建材が「住宅用」と「建築用」に分類されるのはおかしいですよ。どちらも対等な技術を前提にするべきだと考えています。

施主と建築家の関係

Q. 建築家の立場から、お客さんに望むことはありますか?
A. 住宅の設計では、生活のなかに踏み込んで、いろいろ細かなお話を伺う必要も出てきます。ビジネスでは割り切れない部分があるんですね。お互いの人柄というか、相性も大切ですし、何より信頼関係が築けなければいけない。家づくりとは、施主と設計者、施工業者とが信頼し合って三位一体で努力するものだということをご理解いただきたいです。
Q. 信頼できる建築家かどうかを判断するにはどうしたらいいのでしょう?
A. そのかたの設計した家を訪ねてご覧になることでしょう。できれば入居後一年以上、四季を過ごしたお宅で、お住まいのご家族のお話を伺ってみてはいかがでしょうか。
Q. 過去に設計なさった家のご家族との交流はありますか?
A. 家族構成の変化まで見込んで設計してあるので、大がかりなリフォームが必要になったことはありませんが、模様替えなどのご相談を受けることはあります。建物を大事にしていらっしゃるかたほど、頻繁にご相談くださるように思います。

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聞き手:萩原 詩子
フリーランスエディター&ライター。
住宅雑誌などの編集者を経て1997年独立。住まいづくり・住まい選びをテーマに取材・執筆活動を行う。
共著に 「住宅購入チェックリスト」東洋経済新報社刊。


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