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持井工務店
持井 貞城さん

持井工務店の三代目。大工としてのキャリアはもちろん、一級建築士の資格も持つ。次世代の育成にも力を注いでおり、これまでに育てた大工はのべ15人。左官や板金など協力業者との月例会や、一般向けの木工教室の開催など、活発な活動を展開している。青森ヒバの住宅を手掛ける「青ヒバの会ネットワーク」の取締役も兼務。
[ホームページ]http://www.mochii.co.jp/  

仕事の範囲、すすめ方

Q.  持井さんの会社では、設計も施工も自社で行うのですか?
A. 仕事の7割がたはそうですね。設計から施工まで一貫してお引き受けします。残る3割は、ほかの設計事務所を通して行う施工の仕事です。
Q. 設計・施工の場合は、お客さんから直接依頼を受けるわけですね?
A. そうです。現場を見にいらして、そこから話が進むことが多いですね。うちでは随時、進行中・竣工時の現場見学会を行っています。ただ、チラシやホームページに日程は告知しても、住所は載せないし、派手な看板も出さない。電話で問い合わせてくださった方だけをご案内しています。
Q. ホームページ開設などで情報が広がって、何か変わったことはありますか?
A. 家づくりに詳しくて、熱心なお客さんが増えましたね。こちらで用意している条件・要望の記入シートでは書き足りないほど、たくさんの夢がある。ただ、お客さんはどうしたって素人ですし、コスト感覚に乏しい。言うことをそのまま聞いてつくったら、おかしなものになりかねません。設計者としては、のちのちまで残せる建物がつくれるよう、お客さんを説得する必要もあります。

工事費の見積もり方

Q. では、どうやってお客さんの要望と設計・コストを折り合わせていくのですか?
A. 打ち合わせの初期段階から、ラフ図面といっしょに概算見積もりを提示します。これには総額だけでなく、工事種別の内訳とおのおのの坪当たり金額も記載します。さらに、他の現場の内訳も併記して、比較できるようにしておく。お客さんもその現場を見ていますから、内容をつかみやすいでしょう。
 その後打ち合わせを重ね、修整していくと、施工図面が完成する頃には、見積もりはすっかり様変わりしています。最初の見積もりと比べれば、どこを増やし、どこを削ったか一目瞭然。お客さんの要望と予算がどう反映されたか理解していただけますから、納得も得やすいのです。
Q. 工務店によって、見積もりの方法や値段が違う場合もあるのでしょうか?
A. 会社によっては大ざっぱなこともあるし、単価が違うこともあります。ただ、素人がチェックするのはなかなか難しいでしょうね。
 うちでは、できるだけ精度の高い見積もりをつくる努力をしています。図面もたくさん書く。他の事務所の設計なら、その図面を、それこそなめるように見ます。
 自分たちではじきだした値段ですから、それに対する責任は重い。うちの手掛けた建物は安くはないですからね、お客さんもそう思ってるでしょう。だから、払った金額以上のものを提供しなくてはならないんです。

工事中、施主に望むこと・薦めたいこと

Q. 現場を指揮する立場から、お客さんに望むことがありますか?
A. 遠方のお客さんもいますから、職人へのお茶出しは結構ですよ、と申し上げてます。ただね、もし土曜日がお休みなら、そのときぐらいはいらしてほしい。施主さんが見に来て、声を掛けてくだされば、職人の励みになります。
 それから、現場を見て気になることがあったら、ためこまないですぐ言ってもらったほうがいい。不信感は募るものです。そうなる前に、会社に電話してください。
Q. 木工教室を開いて、工具の使い方や研ぎ方の指導もなさっていますね。
A. 椅子やスツールをつくったりね。これはお客さんの自力製作のお手伝いです。家づくりにも積極的に参加してほしいから。たとえばある現場では、仕上げの塗装をご家族の手でやっていだだくことで、予算不足を補えたんですよ。
 今の時代はモノがあふれて、必要のないモノまでつい買ってしまいますよね。自分の手でつくっていたらそうはいかない。必要なモノを必要なだけつくって修理しながら使うでしょう。住まいも、本当に必要なものは何か、住む人と一緒に考えながら、1棟1棟大事につくっていきたいですね。

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聞き手:萩原 詩子
フリーランスエディター&ライター。
住宅雑誌などの編集者を経て1997年独立。住まいづくり・住まい選びをテーマに取材・執筆活動を行う。
共著に 「住宅購入チェックリスト」東洋経済新報社刊。


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